bitter×sweetな恋ゴコロ
03*好きな人
バックの中から鍵を出して鍵穴に差し込んだ、まさにそのとき……
ガチャガチャと騒がしい音が聞こえたかと思うと、
「あーっ、やっぱりアヤだ!おかえりっ。」
隣室のドアが開いて、ハジメが顔を覗かせた。
「……あんた、風邪ひくよ?」
それを見て、思わずもれたため息。
たった今お風呂から出てきました!と言わんばかりのハジメ。
裸足に薄いスウェット上下。
頭に被ったタオルの隙間から、雫が落ちている。
「すぐ行くから、待っててね。」
私の冷ややかな視線など物ともせずに、笑顔で部屋に戻っていく。
まったく…。コドモなんだから。
なんでそんなに慌てて出てくる必要があるわけ?
飼い主を出迎える犬みたいだ。
呆れながらも、私は持っていたビニール袋に視線を移した。
今日、言ってしまおう。
そしたら、きっと楽になるから。
ハジメだって……