bitter×sweetな恋ゴコロ
「話?」
「そう。とりあえず、その袋の中、見てみて。」
ハジメに背を向けたまま、私は買ってきたばかりの、あのビニール袋を指差した。
「これ?」
テーブルの上のそれを、素直に手に取るハジメ。
そして、中を見て……
「チョコの材料?って…え…?」
わかってくれたかな?
ビターとミルクの違いくらいは、さすがにわかるよね?
毎年、私の買ってくる材料を盗み見して、何を作るか予想してたくらいだし。
「今年は…何を作るの?」
「……内緒」
「これって、苦いほうのチョコだよね?俺の嫌いな…」
「そうだよ。」
「え…?じゃあ…」
「ごめんね、ハジメ。」
そこで、私は初めて振り返った。
ハジメの瞳をまっすぐに捉えて、笑顔で続ける。
「今年からはもう、ハジメにチョコはあげられないの」
「え……?」
「“好きな人”ができたから。」
……ついに、言ってしまった。