bitter×sweetな恋ゴコロ
それから……
ハジメは教科書を広げて、さっさと勉強を始めた。
珍しく、黙々と。
一度も私に質問してくることはなかった。
なんだ……
やればできるんじゃん。
椅子に座ってそれを眺めながら、私はぼんやり思った。
……にしても、いつになく静かで、なんだか落ち着かないなぁ。
そう言えばさっき、私はハジメに“好きな人ができた”って言ったんだよね?
……嘘だけど。
ということは、普通に考えて、こういうのも止めたほうがいいのかな?
いくら“幼なじみ”とは言え、夜に部屋でふたりっきり…とか。
“好きな人”がいる女の子は普通、やらないよね?
これも断ったほうが、信憑性あるかも……
「終わった〜!」
あれこれ考えていた私の耳に響いた明るい声。
慌ててそっちを見れば、ハジメは帰り支度をしているところだった。
あ……
「アヤ、俺帰るね。」
早く終わったから、いっぱい眠れる〜!と嬉しそうに笑いながら、ハジメは立ち上がる。
どうしよう?
言ったほうがいいのかな?