bitter×sweetな恋ゴコロ


口調はいつもと同じなのに、不敵に笑う…その瞳はまるで別人。

これは、誰……?


「だからやっぱり、“練習”は必要だよね?」


そう言って、再び近付いてくるハジメの顔。

抵抗すら忘れて、私はぎゅっと瞼を閉じた。

柔らかい髪が頬にふわりと触れたかと思うと、


「アヤがいけないんだよ?先に“好きな人”なんて作るから。そうじゃなかったら、俺は…」


耳元で、甘く切ない声が響いた…のも束の間。


「……痛っ」


首筋に走った痛みに、身体がびくっと震えた。

働かない頭でもちゃんとわかる。

この状況は、マズイ。

一番恐れていた状況。



そして、本当は


一番望んでいた状況…なのかもしれない。



ここを越えてしまったら、


もう絶対に戻れないから。



戻れなくなったら、離れられなくなるから……




そしたらずっと、



一緒にいられるから―――


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