bitter×sweetな恋ゴコロ


「うーっ…」


小さく唸りながら、どうやら葛藤している様子。

そんなに食べたいの?
食べられないんだから、諦めろっての。

まったく…。昔から、何でも私と一緒じゃないと気がすまないんだよね。


「アヤがやってるの見たらやりたくなった」

とか、

「アヤが食べてると美味しそうに見える」

とか……

なんでも真似してやってみる。

ピアノやバレエを始めては見事に挫折し、女の子の遊びに混ざっては冷ややかな扱いを受け…

無理して嫌いな食べ物を口にしては、お腹は壊すわ、倒れるわ。

その度になぜか私が怒られて…はっきり言って、迷惑極まりなかった。

でもそれは、成長した今でも変わらなくて。


「もしかしたら、食べれるようになったかも。」


ポジティブな結論に至ったらしく、再びチョコに手を伸ばしてくるハジメ。


「だから、試しに1個ちょうだい?」


< 9 / 55 >

この作品をシェア

pagetop