sweet×sweetな恋モヨウ
「2人が“5歳”のあの日から、私はずっと楽しみにしてるんだから。」
あー…あれか。
「あのときのハジメちゃん可愛かったわよねぇ。あんなセリフ、どこで覚えてきたのやら。」
あれは確か、母さんに教わったんだ。
「アヤをお嫁さんにするにはどうしたらいいの?」って尋ねた俺に、
「アヤちゃんのパパとママにこう言えばいいのよ」って。
すらすら言えるようになるまで練習させられたっけ。
今思えば、完全に面白がってたとしか思えない。
なんて親だ。
「お父さんも私も、あのときから、アヤはハジメちゃんの“お嫁さん”にすることに決めてるから。好きなときに持って行っちゃっていいからね。」
「おばさん…」
なんて嬉しいことを。
嬉しすぎて、思わずフォークを落としてしまうところだったよ。
でも、いくら未来の“お義母さん”が歓迎ムードでも、肝心の“お嫁さん”があれじゃあなあ。
前途多難、だ。
「そうそう、5階の町田さん引っ越すらしいのよ。」