sweet×sweetな恋モヨウ
「ハジメちゃん、前に言ってたじゃない。小学生のとき…だったかしら?」
今度は“小学生”?
おばさんって記憶力いいよなぁ。さすが接客業。
「アヤと結婚したら、このマンションに住むんだ、って。ハジメちゃん家とうちと両方行き来できるから、みんな寂しくないよね、って。」
……あぁ!言った気がする。
「ハジメちゃんもアヤも“ひとりっ子”だからねぇ。どっちの家に住むかで揉めたら大変だ、とか言って…」
確かそれも、母さんの“入れ知恵”だ。
「ハジメちゃんってば、何がなんでもアヤと結婚するんだーっ、って。小さいときからとにかく一生懸命だったものね。」
「……ハハッ」
笑うしかないよ、もう。
でも、思い返してみれば、俺ってかなり頑張ってたんだよなぁ。
ない頭をその都度フル回転させてさぁ。
なのに、アヤは全然気がつかないし本気にしてくれないし……
昔から冷めた女の子だったよ、うん。
「努力の甲斐あって、“あとひと押し”ってとこなんでしょ?ぜひとも、頑張ってちょうだい!」