sweet×sweetな恋モヨウ
「……ま、いいや。とにかく行こう?」
「えっ?ちょっ……」
アヤの手を握り直して、引っ張るように歩き出す。
可愛い反応をもう少し楽しんでいたい気もするけど、本来の目的を忘れちゃいけないよね。
アヤも、おとなしくなったことだし。
「さー、お参りお参りっ。あ、アヤ五円玉持ってる?」
ここは、とある神社。
知る人ぞ知る名所。
俺の高校の近くにあって、学内では、今一番話題になっているところ。
みんなだいたい平日の放課後に立ち寄るらしいから、休みの日はわりと空いてるんだよね。
アヤの学校とは正反対の場所にあるから、やっぱり知らないのかな?
「アヤと一緒に来たかったんだーっ」
ここに集まる参拝客は、2種類のタイプに分けられる。
“片想いをしている人”
と、
“両想いのカップル”
つまり、
“恋を叶えたい人”
と、
“愛を深めたい人”
に。
だって……
「ここには、“縁結びの神様”がいるんだよ」