花ときみ
翌日、学校は休み。
ただ何もせずに、家でごろごろするのは好きではないから、
知覚の大きな図書館へ行くことにした。

俺は蔵重の言っていた、"月の神話"について調べることにした。
ある1冊を取り出した。
表紙は青いグラデーションで、"月の神話"とか書かれている。
空いてる席に座り、読み始めた。

インドの神話-"優しいうさぎ"。

月の影の模様は、他に、女性の横顔、ロバ、ワニ、吠えるライオン、
木を担ぐ人など沢山あるらしい。

いつの間にか、天体の魅力に惹かれていた。
天体の写真集や神話の本を借りることにした。

そして、蔵重から話を聞くたびに、夜空を見るのが増えた。
東京の住んでいて、なかなか夜空の星が見えないと呟いた蔵重に対して、俺は田舎に住んでいるのに、どうして夜空を見てこなかったのだろう。

ある日、母さんから
「何か良いことあった?」と聞かれた。
「え?別に、何も。なんで?」
「最近、嬉しそうだから。」

学校でも、稜人にも同じことを聞かれる。
俺って、そんなに顔に出やすいのだろうか。

「あ、そうそう。郁弥、来週誕生日だけど、なにか欲しいのあるの?」
…あ、そうだっけ。
すっかり、自分の誕生日忘れてた。
「いや、別に特に無いけど…。」
「あ、そう。まあ、お楽しみね。」

夕飯を食べ終えると、また蔵重からメールが来てた。

from:蔵重水柚
sub:誕生日
本文:知花くんは、
誕生日いつなの?

なんか、偶然かな・・・。

to:蔵重水柚
sub:Re:誕生日
本文:俺は、来週の火曜日。

っと、返信。

メールの着信音が鳴った。

from:蔵重水柚
sub:Re:Re:誕生日
本文:もし、良かったら、
誕生日プレゼント贈りたいから
いいかな・・・住所。
あたしもちゃんと教えるからっ。

え?・・・誕生日プレゼントなんて、別にいいのに。

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