花ときみ
俺は、悩んだ末、住所を教えた。
蔵重はきちんと、彼女自身の住所も教えてくれた。
メールだけれども、電話越しで聞いた嬉しそうな声で
あちらで微笑んでるようだった。

それから、一週間後の火曜日。
朝一に屋上へ来いと稜人に呼ばれていたから、眠くてしょうがなく
あくびが多々出る俺は、約束通りに屋上へ行くと
一つの机の上に何か箱が置いてある。
「おっはよー!郁弥。」
俺の後ろから出て来た稜人。
「ッ!びっくりした…おはよ。」
「ほーら、机のほうへ★」
「なんだお前、気持ちわりぃな。」
何だよ!と言いたそうなふくらました頬の顔で
稜人は箱を開けた。
すると、中には15センチホールのショートケーキが入っていた。
ちゃんとケーキ屋さんで頼んだらしく、真ん中の板チョコレートに
"いくやくん、お誕生日おめでとう"と白い文字で書かれている。

なんか、小学校時以来で恥ずかしいんだけどな…。

「郁弥、誕生日おめでとう。」
「サンキュ…。けど、このケーキ…誰と食べんの?」
「あ?…全部、お前にやるって!」
…今、なんつった。
「はあ!?全部、ホール丸ごと、男が食えるかよ!!」
「まあまあ、家で食べて下さい。」
ったく…。
稜人は…。

俺は、ケーキが腐らないように、学校の冷蔵庫を許可をもらって冷やしてもらった。

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