花ときみ
牡丹桜

小夜時雨

俺は、稜人からもらったケーキを家に持ち帰ると、
母さんがにやにやとしていた。
何か面白がっている様だった。
何故なのかは、俺の部屋に入ると分かった。
1通の封筒が勉強机に置かれていた。
送り相手は、蔵重からだった。
封筒を開けると、1つのストラップが落ちた。
何か星の写真を丸く切り抜き、それを丸い型にはめ込んでいる。
シンプルだが、写真が綺麗だ。
便箋を取り出した。女の子らしい花柄の便箋に、とても綺麗な字で書かれている。
ある文が目に留まった。
"私は、天文学を目指しています。
でも、私は文系が得意で理系は苦手で、
4月からは3年生…受験生になるのに、間に合うのか、不安なんです。
知花くんは理系が得意だと聞いていたけど…でも、知花くんも受験もするだろうから、本当にどうしていいのか…。"

そっか、蔵重は天文学を勉強したいんだな。
俺は、化学を勉強するつもりだ。

蔵重の夢を協力してやりたい。
俺は理系が得意だけど、蔵重まで面倒を見れるような時間も余裕もあと1年だけじゃ間に合わないかもしれない。

俺は、すぐに蔵重に誕生日プレゼントのお礼と、大学のことについてメールをした。
俺は、俺なりのできるとこまでは協力をすると約束した。
そして、蔵重ならきっとやれると励ました。

すぐに返信が来た。

from:蔵重水柚
sub:ありがとう
本文:私、勉強頑張るよ!!
知花くんもがんばろう★

蔵重は、メールと電話でしか会話はした事は無いけど、
大人しいけど、きっと頑張り強さは何倍も有ると思う。
だから、蔵重はきっと合格できるはずだ。

俺も、今日から受験勉強を始めた。
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