花ときみ
金木犀
「・・・あたし、転校するって決まった日がその当日に、急にお母さんから言われたの。
ごめんッ、本当は言わなきゃいけないのに・・・。こんな時期に、転校するなんて悲しくて・・・会いに行ける勇気がなくなったの・・・。ずっと、黙っててゴメンナサイ。」
蔵重の声は、少し涙声だった。
ちょうどよく、教室に着いた。
蔵重は急いで、資料を教壇に置いて帰り支度を済ませようとした。
俺は急いで資料を教壇に置き、蔵重にハンカチを渡した。
「ごめん、何も知らないで・・・こんなこと聞いて・・・。」
すると、蔵重はそのハンカチを受け取ると丁寧にハンカチで涙を拭いた。
「ううん、ずっと言わなかったのは、本当にごめんなさい。」
「もう謝らなくていいよ。悪いけど、またアドレス登録してもいい?」
逢えなかった日に、俺は蔵重の連絡先を消した。
またこんな辛い気持ちになるなら、蔵重との繋がりを消したかったからだ。
蔵重はハンカチを俺に返すと、
「うん。」
と微笑んで、快くOKしてくれた。
翌日、隣の席のわけもあって、気楽に蔵重と話すことができた。
授業中でも、各担当の先生たちのおもしろい噂話を聞かせてあげたり、
わからないことは教えてあげたり、東京での暮らしについて教えてもらったりと、
今まで止まっていた2人の時間が動き始めた気がした。
ごめんッ、本当は言わなきゃいけないのに・・・。こんな時期に、転校するなんて悲しくて・・・会いに行ける勇気がなくなったの・・・。ずっと、黙っててゴメンナサイ。」
蔵重の声は、少し涙声だった。
ちょうどよく、教室に着いた。
蔵重は急いで、資料を教壇に置いて帰り支度を済ませようとした。
俺は急いで資料を教壇に置き、蔵重にハンカチを渡した。
「ごめん、何も知らないで・・・こんなこと聞いて・・・。」
すると、蔵重はそのハンカチを受け取ると丁寧にハンカチで涙を拭いた。
「ううん、ずっと言わなかったのは、本当にごめんなさい。」
「もう謝らなくていいよ。悪いけど、またアドレス登録してもいい?」
逢えなかった日に、俺は蔵重の連絡先を消した。
またこんな辛い気持ちになるなら、蔵重との繋がりを消したかったからだ。
蔵重はハンカチを俺に返すと、
「うん。」
と微笑んで、快くOKしてくれた。
翌日、隣の席のわけもあって、気楽に蔵重と話すことができた。
授業中でも、各担当の先生たちのおもしろい噂話を聞かせてあげたり、
わからないことは教えてあげたり、東京での暮らしについて教えてもらったりと、
今まで止まっていた2人の時間が動き始めた気がした。