花ときみ

クラスメートは友達と話したり、寝だす奴もいる。
俺は、なにもすることないし、稜人が戻ってくるまで待っていた。
すると稜人は3分くらいで、教室に戻ってきた。
俺のとこにきて、ため息を漏らす。
「なんだよ、どうした。」
「んー。今回テスト絶対に赤点取るなって。じゃなきゃ、進級できねえってさ。」
そりゃ、そうだろな。
ほんとに、毎回毎回、テスト返しで担任にさんざん忠告されてたしな。
「お前、彼女より後に卒業するのか?」
稜人の彼女も俺らと同級生で、美人で結構人気あるらしい。
「なわけねえーよ!ちゃんと勉強する、だから、郁弥も協力して!!」
「お前なぁ…。」

稜人はいつにも況して、真剣なまなざしだった。
彼女とけんかして、別れそうになった時も、涙流しながら
本心を話してきたこともあった。
普段は、調子いいやつだけど、心のどっかではなんとかしなきゃいけないのは分かってて、焦ってるのを見せないんだな。

俺は深くため息をついた。
「わーったよ。勉強教えてやる。けど、逃げんなよ?」
稜人は、キラキラと目を輝かす。
「まじ!?サンキュ。借りは返すから!!」
「お前、それは高得点取ってから言え。」
ったく。

とりあえず、放課後になると稜人に俺の古典のノートを全部写させ、重要なとこはきちんと勉強するようにした。

そして、あの子と出会ったのはこの日の夜だった。
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