花ときみ
すると、携帯にメール着信音が流れた。
時計を見れば、勉強し始めて2時間経っている。
時間は22時を指していた。
めったに俺はメールする質じゃないし、最近メール送ったのも昨日だ。

誰だ…。

携帯を開き、メールボックスを見ると
未登録の、見覚えのないアドレスからだった。

from|●●@xx.ne.jp
sub|夜遅くにすみません
本件|蔵重です。○○ちゃんから、
アドレス聞いたのでメールしました。

蔵重?誰。
いや、俺のクラスに蔵重なんていねえよな…。

知らないアドレスなので、俺はほっとくことにした。



翌日―。
本当に稜人は、古典をノートに写してきた。
「まじ、助かった。サンキュな!」
「マジで、昨日に写してきたのか?」
「おう、けど眠い―」
徹夜して書いて来たんだろうな。

すると、クラスメートの男子が稜人の所に来て
「稜人、彼女が話あるって。」

彼女が?…なんでだ?

稜人は急に、顔を曇らせた。
稜人は真剣な顔で、教室を出て行った。


稜人は5分で、戻ってきた。
俺と話していた席には戻らず、稜人は自分の席に着くなり、
顔を机の上にうつ伏せ、顔を腕で囲むようにした。

俺は、尋常じゃない様子の稜人のそばに寄った。
「稜人?…」
稜人はその体勢のまま、こう言った。
「俺が、無事に、進級できなかったら、別れるって…。
留年する人なんかと付き合えないって。」
…まあ、普通ならそうだろうな。
けど、彼女は稜人に頑張ってもらいたいから、心を鬼にしたんだろう。
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