カノジョの秘密。
だけど伸吾はぴくりとも動かない。ただあたしをじっと見つめるだけ。

・・だめだ。
伸吾はあたしを、助けてはくれない。

こうしている間にも、制服が脱がされそうになる。


もう2人の先輩に、それぞれ手と足を押さえられた。


「誰かっ・・やだ!助けてー!!!」

もう涙が止まらない。でも望みを捨てたくなくて、力の限り叫んだ。


ガッ・・・。



え・・・??



一瞬の痛みにびっくりして、涙が止まった。


「うっせえな。コレ以上喚いたらタダじゃおかねえぞ。」


あたしに馬乗りになっている男に、殴られたんだと気がついた。男はナイフをちらつかせてた。

ああ・・、こんなの、ドラマでしか見ないと思ってたのに・・・・。

固まって、もう動けなかった。

「そうそう、大人しくしてろや。したら可愛がってやんだからよ。」


お父さん、お母さん、あたしもうすぐ、そっちに行くかも・・・。


そう、思った時だった。


ふっ、と身体が軽くなった。


「ぐうっ・・・!!?」

「な・・!?」

「先輩!?」

え、え・・?一体、何・・?

横を見ると、さっきまで馬乗りになっていた男が、腹を抱えて倒れている。

他の男たちが立ち上がったおかげで、あたしは自由になった。

「女殴るなんて、お前らクズだな。」

低く、凛とした声が響いた。


え・・・・。


見上げると、そこには・・。


「コレ、着てな。」

「堂、じまさん・・・。」


あたしの憧れる、学校の美少女、堂島さんが立っていた。

彼女はそんなあたしに気づくと、ブレザーを脱いで投げ渡した。


「てめえら、二度と歩けねえようにしてやる。」


そして、学校では想像もつかないような声でそう言って、拳を鳴らすと、彼女はそのしなやかな足を繰り出した。


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