カノジョの秘密。
「・・・見てんじゃねーよ。」

その声が、さらにあたしに現実を叩きつけた。


あたしが憧れていた校内一の美少女は・・、
とてつもなくお嬢様で美しい堂島さんは・・、


今あたしの前で、


上半身裸で、


あたしを睨みつけている。


でもその裸には・・、女の子特有の、つまり、そのーーアレがない。

なんにもない。

薄っぺらい、そう、男の子の裸。


いや、胸がない女の子もいるんだけど!!


なんてゆーか、堂島さんのは・・・・、その、筋肉質で、いかにもって感じなんだ。


堂島さんはため息をついて、今までのどの部屋より広い部屋の、大きなベッドに置いてある白いシャツを羽織った。

その羽織り方は、まさしくオトコ。


その行為に、ドキッとしてしまった。


「あ、の・・・」

「あんたさ、人の部屋勝手に入ってくるなんて何考えてんの?」

堂島さんが、あたしの声を遮った。微笑んではいるけれど、怒っている。それが怖い。

「え、と・・、あたし、もう帰らなきゃいけなくて・・。制服と、カバンを・・。」

「メイドは?」

「あ・・どっか、行っちゃって・・・。」

あたしの返事に、彼女・・いや、彼?は、長い髪の毛をかきあげて、あからさまにため息をついた。

「ごごごごめんなさいっ!!あたし、あたし・・絶対絶対言いませんっ!!!」

もうとにかくこうするしかないと、あたしは咄嗟に土下座した。
だってあたしが悪いんだもん。堂島さんは恩人なのに・・。

「あたし、絶対言いませんからっ!堂島さんが・・女装趣味だなんて、絶対!!信じてください!こう見えて口はかた・・!」
「おい待てコラ。」

「・・え?」

土下座していたあたしの視界、堂島さんの足が入った。恐る恐る見上げると・・、物凄く恐ろしい顔で、堂島さんが立っている。

・・・え、な、んで??

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