カノジョの秘密。
「お前は今日から、堂島家の使用人だ。それも、俺専属の、な。住み込みで働いてもらう。もちろん金は出す。文句は言わせねえ。これが、お前が知ったことへの代償だ。
それとも何か?お前の何でもします、ってのは嘘だったのか?それなりの言い訳があるなら、出してやってもいい。」

悔しい。
そう思った。
頭がいい。用意周到に、あたしをじわじわと追い詰めてる。

多分、わかってるんだ。
あたしがどんなにたんかを切っても、何も出来やしないこと。
わかってるんだ。

目をギュッとつむった。
お母さん、お父さん、おばあちゃんの顔が浮かんだ。

恨んだりしない。絶対に。
これが、運命なんだ。


「・・自分の言葉に、責任くらい持てるわよ。」

負けたくない。
その一心で、あたしは彼を睨みあげた。

「・・・なかなか気に入った。」

堂島さんが、口端を引き上げて笑う。

ムカつく、ムカつく、ムカつくのに、不覚にも、その笑顔に胸が高鳴る。


とにもかくにも、
こういった様々な事情で、
あたしと堂島麗の、主従関係は成り立ったのです。





< 31 / 32 >

この作品をシェア

pagetop