カノジョの秘密。

元カレとの再会

「茜ちゃん、あたしトイレ行くから先行ってて。」

「わかった。いつもの席座ってる。」

「ん。」

昼休みが終わり、次は移動教室だった。パソコンの授業なんだ。
教室は2号館。あたしたちの教室は1号館で、移動するには中庭のロータリーを通る。

その前にあるトイレに入り、あたしも教室へ向かおうとロータリーへ出た。

ふ、と中庭を見たのは偶然だった。

見るとそこに、男女二人が立っていたんだ。


あ。


咄嗟に、ロータリーの影に隠れた。

「あの、さ。俺のこと、知ってる?」

「・・・ごめん、知らない。」

その会話を聞いて、確信する。
わー、告白シーンだ!!
人のなんて初めて見たっ。

影からチラッと顔を出して、盗み見る。

男子のほうは・・正直いって知らない。先輩、かな・・?顔はかっこいい方だった。

だけど。

あたしが注目していたのは、女子の方。

「そっか、しらねえか・・。・・・それでもいいや。俺、お前のことずっと前から見てて・・。一目惚れって、初めてしたっつーか。・・つまり、その、好きなんだけど・・。付き合って」

「ごめんなさい。無理です。」

告白の続きは、女子によって遮られた。

うーわー、かわいそう・・。

男子は固まっている。

「わたし、あなたに興味ないから。」

容赦なく、冷たい言葉を浴びせる彼女。

でもやっぱり、彼女は綺麗だった。

「じゃ、じゃあこれから・・」

「無理。次、授業あるんでいきますね。」

男子の食い下がりにも、彼女はとことん冷たかった。
そのまま踵を返し、彼女はあたしがいるほうとは反対側へ歩いていった。

その後ろ姿に、思わず見とれる。


・・って、やばい、授業っ!


あたしは急いで立ち上がり、教室へ向かった。

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