大切なモノ
「うぃーす。」




その時、恭平が部室の扉を開けて入って来る。




「お、来たのか、恭平。」



「来ちゃ悪かったのかよ〜?」




「珍しく早く来たから驚いただけだ。それにしても…今日は早いな。」




「ああ、それなら―――」




「姫華が連れて来たんですぅ〜。」



恭平の後ろから姫華ちゃんが出て来る。



いつものブリッコ口調に、私と未里亜の顔は思い切り歪んだ。




「ねぇ〜?先輩?」



「あー、そうそう。姫華ちゃんが俺の教室まで来てくれてさー。」




恭平の顔には【サボリたかった】と書いてある様だ。




「姫華は先輩がいる所だったら、どこだって迎えに行っちゃうんだから!キャハッ☆」





その言葉に一斉にみんなの顔が凍った。
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