大切なモノ
「恭平先輩が言うんだったら…。」




「わかりましたよぉ。」




二人は渋々止める。


最後にお互いを睨み付けて―――。






「さて、全員揃ったしそろそろ行くか?」



「うん、そうだね。」




私達は立ち上がる。






「明日香。」



恭平に呼ばれて、莉緒の隣から恭平の隣へと移動する。




「何?」



「さっきの続き。」





恭平は私の耳元に唇を寄せる。






「何があっても俺は明日香の味方だ。だから明日香は俺を信じていてくれ。」




その弱々しい恭平の言葉に、私は何も聞かずに頷く事しか出来なかった。





私と話していた恭平を、鋭い目で莉緒が見ていたなんて、気付きもしなかった――――。
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