あの頃から君は
 高校はみんなバラバラのところに行くのだ。小巻はそこで、総司の知らない友人を作って過ごすのだろう。これからは、こんな風に当たり前に一緒に過ごせない。分かっていた事なのに、それが目の前に迫っていた事に今更気付かされる。
 総司は浮かんだ言葉を小巻の思い出に残そうと、ペンを走らせた。

「よし、総司書き終わった?」
「ん」

 総司はアルバムを閉じて小巻に渡した。小巻はそれを受け取って、すぐに帰り支度を始める。

「じゃ、帰ろう。美羽探してくる」

 教室を出ていく小巻の後姿を見つめ、総司はほっと息を吐いた。
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