あの頃から君は
「髪の毛伸ばしてみたんだけど、やっぱり短い方が落ち着くっていうか、楽チンでさ」

 小巻は髪をいじりながら拗ねたように言う。

「え、写真ないの?レア小巻見たい」
「ないから。レアじゃないし」

 身を乗り出した総司をメニューで軽く小突き、小巻はウェイターを呼んだ。それを見ていた美羽が微妙な表情になる。

(こんなに分かり易かったら気付くよね、普通)

 中学の頃の自分はどうして気付かなかったのだろうと、美羽は首を傾げた。確かに恋愛方面は疎かったかもしれない。いやしかし、あんなに一緒に居たのに。
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