あの頃から君は
「でも、気まずくなるの嫌だし」
「そんなの篠崎が気にすることないよ」
「そうかなあ」
「気にするから気まずくなるんだって。普通にしてたら大丈夫」

 美羽にそんな事が出来るだろうか。中学に入ってから高津と顔を合わせる事もほとんどないし、努力すればどうにかなるかもしれない。気もするような、しないような。

「上手く出来なかったら、また相談してよ」

 そう言って笑う総司を見て、美羽の心がふわりと軽くなる。

「ありがとう」
「いえいえ、どういたしまして」

 総司が立ち上がったので、美羽もつられて立ち上がった。隣に並ぶのは初めてだけれど、頭一つ分は大きい総司を見上げる。
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