あの頃から君は
(保健室登校はいやだなあ)

 むしろ学校に入るのが嫌だ。制服に袖を通すのも嫌だ。小学生の頃は普通に登校していたのに、どうして上手くいかないのだろう。小巻自身が一番困っているのに、大人は小巻を『よく分からない子供』という目で見てくるばかり。小巻だって困らせたい訳じゃない。ただ、この感情の正体が知りたいと思った。

(美羽、元気かな)

 ポケットに忍ばせていた携帯を取り出してみる。こんな状態になってからは、申し訳なくて連絡が取り辛いと言うか、色々と話し辛いというか、美羽からの連絡も全部無視してしまっている。いや、無視するのも悪いと思うのだけれど。

(さすがにもう、見捨てられたかもなあ)
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