あの頃から君は
「うあ、藤代?」
「あ、うん。久しぶり」
「今から帰んの?」
「まあね」

 能天気に笑う小巻を見て、高津は「ふうん、そっか」と階段を駆け上がって来た。今は違うクラスだから、高津は小巻の今を何も知らないかもしれない。だから適当に笑って誤魔化すのが一番良い。

「なあ、あのさ、藤代って篠崎と同じクラスだろ?」
「あ、うん?」

 突然美羽の話題を振られて訳が分からない小巻に、高津は瞳を輝かせた。
< 44 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop