あの頃から君は
「篠崎もいつか誰かと付き合うのかなって考えたら、すげぇ嫌な気持ちになってさ。男と並んで歩いてるのとか想像したくないし。っつーか、それが俺だったら良いのにとか思っちまうし。そしたら、当たって砕けても良いから告りたくなってさ」

 顔を赤くしながら話す高津を見て、小巻は心をくすぐられた。面映い気持ちが小巻にも伝染して、胸をどきどきさせる。高津は美羽が好き。目の前にある恋がセピア色の空気からはみ出した。

「うん。で、美羽はなんて?」

 小巻の問いに高津は溜息を漏らす。

「日曜日に遊ぶ約束した」
「まじで!?OKもらったの?」

 驚いて身を乗り出した小巻に、高津は堪らず頭をがしがし掻いた。高津の真っ赤な顔が、嬉しさと恥ずかしさと不安の混じった複雑な色を見せる。
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