あの頃から君は
「俺さ、藤代って良いやつだと思うよ。人の悪口言ってんの聞いたことないし。女子って怖い感じするけど、藤代ってさっぱりしてるだろ。俺だって誰でも良い訳じゃないんだよ」

 高津に詰め寄られ、小巻は言葉を呑んだ。

「友達にはちゃんと説明するから。篠崎も藤代が一緒なら安心だろうし。頼むよ」

 高津が拝むように小巻を見る。そこまで言われしまったら小巻も断れない。高津の必死な表情を見て、小巻の口から溜息が漏れた。

(学校に来なければ良かった。最悪)

 高津の意外な一面を知るのと引き換えに、小巻は自分が押しに弱いことを知った。自分は押すタイプだと思っていたのに。
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