旦那様は社長 ♥特別編♥
「光姫……?」
不思議そうにあたしの名前を呼んだ後、電気のスイッチに手を伸ばした悠河に「ダメ!」と訴えてみたけれど。
ーーカチ。
「……」
あたしの身体は、ベッドサイドの真っ白い光に照らされた。
ジ・エンド。
悠河が瞬きも止めてポカンと口を開けて、まるで異生物を見るような目であたしを見下ろしている。
きっと今、ドン引きしている最中なんだ……。
だってあまりにもあたしには似合わなすぎる、ピンクのフリフリ。
「ごめんね。……悠河」
失神させてしまうくらいの衝撃を与えてしまって……。
だけどね。
一番泣きたいのは、あたしなんだよ。
恥ずかしさと後悔とで涙がポロポロと零れ落ちて、あたしは悠河に謝ることしかできなかった。
「ごめんなさい。ごめんなさい。……だって、悠河がこの先もずっとあたしを変わらず愛せるか分からないって言うから……。変わりばえのない毎日は退屈だって言うから……。だからあたし、こうやって……」
ただ、悠河の心を繋ぎ止めたかっただけなの。
あたし以外に目を向けてほしくなかっただけなの。
「悠河……」
何も言ってくれない悠河に不安を覚えて顔を上げると。
ーーボタボタ。
「え?」
身体に冷たい水滴が落ちるのを感じた。
これ、何?
「……って、血!?」