旦那様は社長 ♥特別編♥
あたしの胸の上に、赤い血が数滴。
一体どこから……
「って、悠河!?ど、どうしたの!?」
顔を上げてギョッとした。
だって、悠河の鼻から次から次へと血が出ているから。
「なに!?は、鼻血!?」
側のティッシュを何枚も取って、悠河の鼻に押し当てた。
そんな悠河はあたしの隣に仰向けに倒れ、鼻を塞いで天を仰ぐ。
「悠河?」
心配になって顔を覗くと、顔ごと逸らされた。
「悠河……」
「違うから」
「え?」
「これはお前の顔を見たくないわけじゃなくて。……見れないんだ」
「なんで……」
そんなの、また泣きそうになるよ。
「お前、それやべーよ」
「分かってるよ……。あたしだって思うもん。今日のあたし、気持ち悪いって」
「だから違うって!そうじゃなくて……可愛すぎんだよ」
自分の耳を疑ってしまう。
今確かに悠河の口から“可愛い”って言葉が聞こえた気がする。
「いいよ、気を遣ってくれなくて」
「バカやろう。お前が可愛すぎてご丁寧に鼻血まで出してるオレが、そんな気遣ってるように見えるか?」