旦那様は社長 ♥特別編♥
朝こうしてオレにキスをした後、光姫はまずクローゼットに手を伸ばす。
「今日は……、10時から大事なお客様がいらっしゃるから……おかしなカッコはできないし。……やっぱり、こっち?それともこっち?」
鏡の前で2着の服を交互に合わせて、真剣に悩む光姫。
いつも思う。
女はどうしてこんなに服選びに時間がかかるんだ?
光姫は何でもそつなくテキパキとこなすくせに、服選びだけは普通の女と変わらない。
「んんー」
既に15分が経過。
それでも光姫はまだうなっている。
やれやれ。
そろそろ時間だろう……。
「今日のオヤジ相手に、そんな短いワンピース着るつもりか?」
「そっか!そう言えばあの人、いつもイヤらしい目で見てくるんだった!」
思い出したようにそう言った後、光姫は黒のストライプのパンツスーツを選んだ。
やれやれ。
心の中で小さく溜め息をはくと。
「え、今の悠河の声!?」
今更ながら光姫からツッコミを受けた。
だけどオレは寝たふり……。
光姫の視線を顔中に感じたけれど、「やっぱり気のせいよね。悠河は朝が弱いし」と能天気なことを言って光姫はパジャマのボタンを1つ1つ外していく。