旦那様は社長 ♥特別編♥
急いで光姫を追いかけて寝室へ向かうと、中から鍵がかけられていて入れない。
「光姫」
ドンドンと扉を叩いても光姫からの返事はない。
…ーーだけど。
「……ッ」
部屋の中からすすり泣く声が微かに聞こえる。
「光姫……」
オレはまたやってしまったようだ。
勝手に暴走して、光姫の気持ちを無視して……
光姫を傷つけた。
「ごめん、光姫。違うんだ……。お前を傷つけるつもりなんてなかった。さっきお前が寝室で、オレには悪いけど……って言ったろ?それがその……気になって。……他の男の影を……探そうとした。バカ……だよな、オレ」
中からすすり泣く声は聞こえなくなったけれど、光姫からの返事もなかった。
だけどオレは続ける。
「ごめんな。オレ、いつまでたっても余裕なくてさ、お前のことになると……。きっとこれから先も、こうやって暴走しちまうこともあるかもしれない。けどそれは、お前を本当に愛してるからで……」
自分が何を言っているのかだんだん分からなくなってきた。
「つまり、その……」
言葉に詰まって頭を抱えている時だった。
扉の向こうから聞こえてきた光姫の弱々しい声。
「浮気なんて……あたし、ぜったいしない」
「あぁ。……ごめん」
「あたしの心も身体も……全部悠河のためにあるんだから」
「光姫……」
そんな可愛いこと言われたら、今すぐ抱きしめずにはいられない。
「光姫、ここ開けてくれ」