あめあがり
302
 302号室…加奈子は、

ドアをゆっくりあけた。

薄暗い部屋に電気をつけながら

(私が産まれた時もこんな嫌な天気

だったのかな…)

そんな事を考えていた。

テーブルに買ってきた物を

置いて見ると、つくづく買い過ぎに

気付かされる。だって…

こんなにたくさん、使い切るまでに

ダメになってしまう。

持ちきれない程買い込んだせいで、

階段でワインを落として

割ってしまったし、ケーキも

形が崩れてしまった。

一人分のパスタを茹でながら材料を刻む。

直ぐに終わる作業だけど面倒臭い。

一人だとつまらない…

「来年こそ、堂々と誕生日を一緒に過ごせる

人を探さなきゃ。」

独り言…







< 1 / 30 >

この作品をシェア

pagetop