あめあがり
それでも希が無理矢理 加奈子を抱きしめようとしたので

加奈子はドアを開けて外に逃げ出そうとした・・・・

「止めってったら!本当に警察呼ぶわよ!」

タイミング悪くそこに 野澤が立っていた。

「誰だよ、こいつ」

希は、野澤を見て声を荒げた。

野澤は加奈子をかばうように希の前に立ちふさがってくれた。

「そいつは、誰なんだよ。」

「誰だって関係ないでしょ!二度と来ないで。」

加奈子に希が掴みかかろうとしたのを、野澤が止めながら強い口調で言った。

「嫌がってるだろ、出てけよ。」

低い声で妙に落ち着きはらった態度と希を真っ直ぐに睨んだ目は、迫力があった。

昔やんちゃだった頃の直人の目だ。


「なんだよ、男が出来たんなら最初からそう言えよ。

思わせぶりしやがって!二度とこねーよ!」

希は捨て台詞を吐きながら出て行った。

これでいい。だけど、本気で好きだった男がこんな男だったなんて悲しくなる。

・・・って、いうかめちゃくちゃ恥ずかしい所を見られてしまった。



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