あめあがり
加奈子と亜美は、すっかり仲良しになっていた。

 だけど、もうすぐ 亜美は、退院して来る父親の元に戻ってしまう。

そうなったら淋しくなるんだろう。

「佐伯、」

「あ、野澤くん」

「何?」

「いや、こんな所でぼんやり立ってるからさ、

飛び降りんじゃねーかと思って」

「飛び降りるほど思い詰めてる訳じゃないけど…

淋しいなって思って…」

「…そうか」

「亜美ちゃんといつも一緒だったから何か…ね」

「え?淋しいって、そっちの事か」

「ん?あ、あの事…あはは…あれは、

もう大分前に別れた人だから。つきまとわれて困ってたから強がりじゃなく、

本当によかったと思ってるのよ。これであの人もう来ないわ…

あ、もしかして心配してくれてた?」

「まさか自殺は、しないと思ったけど。踊り場で下見てぼーっとしてるから。」

「ありがとう。あの人奥さんと子供いるくせに 

付きまとうから。ほんとに困っちゃって・・・ 」

「お前さ、」

「ん」

「もう少し自分の事考えたら?」

「お節介だっていう?」

「何時も損してるみたいに見える。」

「なにそれ」

「自分が大変だっていう時に何してるんだよ。」

「じゃあ、私は、亜美ちゃんの事ほっておけばよかった?」

「…きっと亜美達は、すごく…」

「…解ってるわよ。私は、いつだってお節介で、余計な事ばかりしてる。」

「そうは、言ってない」

「もう、いいわ…」






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