あめあがり
加奈子は時間を気にしながら足早にあるいた。

亜美がお腹を空かせて居るはずだ。

301号室から亜美が飛び出して来て加奈子を迎えた。

「お姉ちゃん、お帰り。先生来てるの。」

「お疲れ」

「斉藤さんから電話あった?…」

「ああ。今、亜美の宿題見てたんだ。これから斉藤さんに会いに行くよ。」

「そうなんだ。」

「ね、先生、亜美ちゃんと宿題やったんだからパパの病院行きたい!

早くパパに会いたいよ。」

「先生の車で行こう。」

 「お姉ちゃんも行こうよ。」

「え?私も?」

何で?と思ったが、

「お姉ちゃんも行こうよね、お願い」

亜美を預かるのは一日だけと言っていたが、今夜からどうするのか

気になったこともあり、来てしまった。

「斎藤さんこんばんは」

「あ、野澤先生。すみません。わざわざ来ていただいて・・・」

「気になさらないで下さい。斉藤さん動けないんですから。」

「すぐに退院出来ると思いますから…あ、佐伯さん。

亜美を済みませんでした。今日から亜美は副担任の高津先生がお預かりして頂くようなの

で。」

「嫌だ。亜美、おねえちゃんの言うこと聞いてうちにいる。

高津先生のお家なんか行きたくないよ お姉ちゃん、お願い。

あみ、どこにも行きたくないよ。」

「私は、亜美ちゃんが嫌で言ってるんじゃないのよ。

私は、お仕事が遅くなるときもあるから、仕事から帰るまでが心配なの。」

「そんなの大丈夫だよ。るすばんできるもん。」

「小さい子供を1人で長い時間置いておく事は出来ないんだよ。」

父親がそばから亜美をなだめる。

「まいちゃんのママもお仕事してるから、いつも待ってるって言ってたよ。」

「まいは、学童保育所にいるんだ。1人で待ってる訳じゃないんだよ。」

今度は野澤が言った。

「じゃあ、あみも学童保育いく。」

亜美の副担任の高津先生という女教師が亜美をしばらく預かることを

引き受けてくれたらしいが、亜美はどうしても自分のうちにいたいらしい。

 

色々話し合い、結局、加奈子は亜美をしばらく預かることにした。

亜美をほっとけなかったし、学童保育が利用できることがわかった。

それなら何とかなると思った。







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