君に出逢えたから…[短]
寛斗は閉じていた目をうっすらと開け


「ま…りさ…?」


それは弱々しい声だった。


それを聞いた私の目に涙が溜まった。

「何で…何で嘘ついたのよ!何で癌だってこと言わなかったのよ!知ってたら私…」


泣きながら怒鳴った私に寛斗は頑張って手を上げて私の頬に当てた。


「ごめ…んな…俺…別…れた…く…なかっ…た…ずっ…と…麻莉…紗と…居…た…かった…」

それを聞いた瞬間私の目から涙が溢れた。


「私もずっと一緒に居たかったよ。だから寛斗…生きてよ。生きて私を幸せにしてよ。私を幸せに出来るのは寛斗だけなんだから…」


泣きながら言った。


「俺…だっ…て…いっ…しょに…居…てー…よ…でも…な…も…う…無理…なん…だ」


「寛斗…」


「俺…麻…莉紗…と…出逢…えて…ほ…んと…に…よかっ…た…いっ…しょ…に…居れ…て…幸せ…だっ…た…」


寛斗は目を細めて笑いながら言った。


「寛斗…大好きだったよ。愛してた。これからも寛斗しか愛せないよ…」
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