縦笛@ne.jp

ベッドの上で天井を眺める。


裸のまま2人並んで天井を見ながら会話する…そんなコトにも慣れてきていた。


チェックアウトの時間が早くこないかと願うコトしか出来なかった。


時計を見るために何気なくケータイチェック。


あたしは自分のケータイに付けていたキーホルダーが取れていたコトに気付いた。


「ねぇ、あたしのケータイに付いてたイルカのキーホルダー知らない?」


『キーホルダー?』


カラカラと飴が歯に当たる音がする。


「飴舐めてるの?」


あたしは万俵くんに聞いた。


ニヤっとした口の中には私がいつも使ってるキーホルダーが入ってたんだ。 
 

「何やってんの!!信じらんないよ!!」


『お前の大事にしてるキーホルダー見てたら無意識に口に入れてたんだ。』


「はっ、何それ…」


あたしはすぐに服に着替えてホテルから出ようとした。(逃げようとした。)


『すごく美味しいよ。』


「返してよ!!」


『家までおくるからシャワー出るまで待てよ。』


何それ。


普段そんなコト言わないじゃない。


どういうつもりなの?


あたしもあたしだ。


その場から逃げるコトは出来たはず。


でもあたしは彼がシャワーから出るまで待っていた。

< 122 / 171 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop