縦笛@ne.jp

きっともうあたしは表情をなくしていたんだ。


学校でも万俵くん以外と話なんてしなかった。


万俵くんの色に完全に染まったこの心と体。


他の人の色になんて染まりたくない。


染まったら万俵くんだって許してくれない。


体育の時間だった。


不覚。


着替えてるとき…


樹里が


『やだ、花子!!体中アザだらけじゃん!!』


あたしはとっさに隠した。


見られた…?


『万俵?万俵にやられたの?』


「違う。」


『どうしたの!!隠さないでよ!!見せて!』


「やめて!!」


『最近ヘンだよ、花子。どうしちゃったの?』


「うるさいな!!樹里に何がわかるの?あたしがいいって言ってるんだからいいでしょ!!!!ほっといてよ!!!」


あたしは樹里を突き飛ばした。


友情なんていらない。


あたしは“万俵くんの彼女”としてふさわしい生き方をしていくしかないんだ。


もうその道しかないんだ。


今更後戻りなんて出来ない。


普通の女の子なんかに戻れない。


もうその頃…あたしは万俵くんの奴隷だった。


万俵くんをサポートしていくコトがあたしの使命だったんだ。


そうそれこそがあたしが生きる意味。

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