梶山書店物語〈零〉
長髪の男も終わった。
運が悪いといったら最悪に運が悪かったに違いない。

一生、ここには来れない。
来たくないだろうな。

「てんちょーう、俺もいんだけどー?」

「気付いてる気付いてる。
たまには買ってくれよ」

それだけ言って店長は踵を帰していった。

「何しに来たの?」

「ちょっとちょっと冷たいんじゃないの?」

間抜けた声で喋る男の名は安藤シロ。手足スラッと長くて肌も白い。

男性雑誌に載っててもおかしくない。







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