。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
あたしは小さくため息を吐くと、無理やり笑顔を作った。
口の端が妙につりあがってぎこちないものになっちゃったけど。
「なぁ、虎間ってやっぱ強いのか? 関東に進出してきたのは兄弟のうちの誰だ?」
叔父貴も険しかった表情を緩めて、口元に笑みをたたえた。
「気になるのか?」
「そりゃ、盃を交わす相手だし。それに交わしてもいいって叔父貴が思える奴なら気になるよ」
極道の世界で最強と謳われた叔父貴が認めた白虎会、虎間―――いや、ホントのところはどうか知らないけど、少なくとも普通ではない筈だ。
「お前と互角ぐらいかな?」
叔父貴はのんびり言って、再びベッドに横になった。
「互角……って、そんなの比べる対象があたしだったら分かんないよ」
叔父貴はちょっとくしゃりと子供っぽく笑う。
「お前が本気出したら俺だってきっと適わない」
叔父貴の手がそっと伸びてきて、あたしの胸の前に垂れた髪の毛に触れた。
「や。いくら何でも力じゃ叔父貴には勝てねぇよ」
あたしは思わず苦笑いを漏らした。
「力じゃねぇよ。喧嘩はスピードと技術。それにずば抜けた洞察力が最も必要だ」
お前はその全てを備えている。
まさに芸術品とも言えような。
そう、叔父貴は続けた。