。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「……何だよ」
ちょっと面倒くさそうに振り返る。
疲れてんだから早く風呂入って寝てぇんだよ。
メガネは無言であたしに歩み寄ってきた。
何を思ったのか、あたしの頬を親指でそっと撫でる。
思いのほか優しい手付きだった。
「涙の痕…………悲しいことでもあった?」
あたしは眉を寄せた。
何で……?
何でお前が気づくんだよ。
家に入る前に鏡でちゃんとチェックした。
目はもう赤くなかったし、頬に伝った涙の痕もきれいに消えていた―――筈なのに……
うっせーな、泣いてなんかねぇよ。
そう否定したかったのに、言葉が出てこなかった。
「琢磨さんのところにいたの?」
メガネは更なる追求をしてきて、あたしは驚きに目をみはった。