。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。



ダンッ!!



メガネの頭が木の柱に打ち付けられる。


メガネは驚いたように、ちょっと顔を歪めた。


あたしは今、メガネの首を腕で押さえている。


あたしには、自分よりでかい人間の首を絞めることなんて容易いことだ。


大抵の人間はこれをやられると、ビビるか恐れおののいて逃げ出してしまう。






「ごちゃごちゃうっせーよ。死にてぇのか。てめぇは」




凄みを利かせて言うと、腕により一層力を込めて、ぐいと引き上げるとメガネは苦しそうに咳き込んだ。


「僕は……朔羅さんの気持ちが……理解できない」


それでもメガネはビビったり逃げ出そうとはせず、ただまっすぐにあたしを見てくる。


澄んだ茶色の瞳があたしを捉えてる。



まっすぐに。


そうやってどれぐらい睨み合ってただろう。






「お嬢、物音がしたから、帰ってたんですか……」



とふいにどこかの襖が開く音がして、場違いなほど明るい声を出してマサがひょっこり顔を覗かせた。


だがすぐにあたしとメガネを見ると顔色をさっと変えた。


「お、お嬢……?どうされたんですか?」


「ちっ」


あたしは小さく舌打ちをして、メガネを絞めてる腕を下ろした。


ようやく開放されたメガネは激しく咳き込んで首元を押さえていた。




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