。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。

次の日、いつもより一時間も早く起きて支度をすると、逃げるようにあたしは家を出た。


昨日のメガネとの言い合いの原因や理由をマサは聞きたそうにしてたけど、あたしはそれを無視した。


なんかなぁ。


自分ちなのに、最近逃げてばっかだ。





だけど。


教室に入ると嫌でもメガネに会っちまう


しかも、前の席だし。


メガネが登校してきて、あたしの前の席に座ろうとして遠慮がちにこっちを見た。


何か言いたそうに口を開きかけたけど、


あたしはリコの元へ逃げた。


何か今喋るとまた喧嘩になりそうだったから。


休み時間も、放課後も、帰宅するときも家でも、あたしはメガネを避けて、なるべく顔を見ないようにしていた。






そんなことが続いて一週間がたった。


一週間―――






庭の桜の花はもう散ってしまっていた。






相変わらずあたしはメガネを避け続けていたし、家でも野郎どもがそのことを不思議に思っているのか、しきりに何か聞き出そうとしてくる。


マサに至っては


「お嬢、メガネの野郎と喧嘩でもしたんですか?」なんてこそこそ話しかけてくる次第だ。


「うっせぇ。何もねぇよ」


一度あたしがそう言い返したらそれきり何も言わなくなったけど。




最近、存在すら忘れかけていたキモ金髪野郎もまたしつこく言い寄ってくるし、


大好きな叔父貴はあれ以来連絡寄越さない。


まぁ、元々放任主義なところはあったけど。



それでもやっぱりちょっと寂しい。




桜が見たいな。


叔父貴の部屋のジオラマだったら、一年中見れる。




叔父貴ともう一度桜を眺めたい……



そしたら心のもやもやも全部消せる気がしたんだ。









< 118 / 558 >

この作品をシェア

pagetop