。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「朔羅ってお料理は上手だけど、他は不器用だよね」
リコが笑う。
う゛…しょうがね~だろ!!
あたしの手の中にあるケーキのラッピングはリボンは傾いてるし、切り口もまばら。
もっと女の子らしくできたらいいのにな。
不恰好なケーキを持って、あたしは教室に戻った。
戻ると千里が両手を広げてあたしの前に立った。
「何?」
あたしが眉を寄せると、
「ケーキ。ちょーだい」とにこにこして言う。
「自分で請求する?ってかお前にはやんないよ」
「えー、何でだよっ。ってもしかしてお前、誰かにやるつもりじゃ……」
「バ……ちげーよ。上手に出来たから自分で食うんだよっ」
あたしはぷいと顔を背けた。
背けた視線の先にはメガネがいて。
「龍崎くん。調理実習でケーキ作ったの~。食べてくれる」
女子たちが群がってる。ていうか、調理実習を選択していたクラスの女子のほとんどだ。
その中にリコもちゃっかり混ざってる。
「わぁ。ありがと」
なんてにこにこ顔でメガネは受け取っている。
「ちぇ。女子はみんなああいう男が好きなんだな」
千里がおもしろくなさそうに唇を尖らせた。
「ホントに……みんな目ん玉腐ってんじゃねぇの?」
あたしは言ってやった。
みんなショックだろうな。
こいつは実は男が好きだって言ったら。