。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「待ってないよ。今来たとこ」
メガネの柔らかい声が聞こえた。
きっとにこにこ相変わらずの笑顔なんだな。
こっちに背を向けてるからわかんねぇけど。
「呼び出してごめんね。あの……これを渡したくて」
マドンナは恥ずかしそうに言うと、ごそごそと何かを取り出した。
その何かはよく見えなかったけど、確かめるまでもない。
調理実習で作ったケーキだ。
「これを僕に?ありがとう」
メガネは快く受け取っているようだ。
「あの……龍崎くん。あたし、龍崎くんのことが好きなの……彼女とかいなかったら付き合って欲しいんだけど」
やっぱり―――!!
何かいけないものを見てしまった。
メガネは何て答えるんだろ。
何か……
何でか、答えを聞きたくない。
心の中にあのいいようのないもやもやが立ち込めてくる。