。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。



――――


何となくどんよりした気持ちで家に帰ると、


廊下からひょっこり蠍座キョウスケが顔を出した。


手には風呂掃除用のスポンジ。ジーンズと、タートルネックの袖はまくってある。


「お嬢、お帰りなさい」


「ただいま。何だ、今日はキョウスケが風呂掃除当番か?ご苦労だな」


「いえ。もう終わったところです」


あたしはキョウスケの顔を見上げた。すっと通った鼻の頭に泡がついてる。





あたしは吹き出した。


「?どうしたんですか?」


キョウスケがいぶかしんで首を傾げる。


「おめぇ、鼻に泡がくっついてる」


「え?あぁほんとだ」


キョウスケは慌てて鼻を擦った。


鼻から手をどけると、キョウスケは出し抜けにふっと笑った。


びっくりした……


こいつが笑うところあんまり見たことないから。


「やっと笑ってくれましたね」


「え?」


あたしは目をまばたいた。


「だって最近お嬢、全然元気なかったから。笑わなかったし。笑ったほうが可愛いですよ」


―――!!!




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