。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
びっくりしてあたしは口をぱくぱくさせた。
組のもんには「可愛いでっせ」とかよく言われるけど、それは挨拶みてぇなもんだし、あたしも本気と取ってない。
それにキョウスケがあたしが元気ないことを知ってたことにも驚きだ。
何に関しても無関心そうだったのに。
「ど、どうしたんだよ。おめぇ。熱でもあるんじゃねぇのか?」
「熱はありません。至って元気です」
そう真顔で答えたキョウスケはやっぱりいつものキョウスケで。
でもこいつなりに心配してくれてたんだな。
そだ。
あたしは鞄を開けると、不恰好なケーキを取り出した。
「お前にやるよ。調理実習で作ったんだ。まぁ見てくれはあれだけど、味の方は保障するから」
「これを俺に……?お嬢の手作りですか?ありがとうございます」
キョウスケはびっくりしたように目をぱちぱちさせて、あたしのケーキを受け取った。
その顔がさっきの笑顔よりもっとにこやかで―――あたしはまたまたびっくりしてしまった。
そのとき、
ガラガラ
古めかしい玄関の引き戸を開ける音がして、
「ただいま戻りましたー」
とメガネが帰ってきた。