。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「朔羅さん、もう戻って……」
と言いかけてメガネは口を噤んだ。
目はキョウスケの手元にあるケーキを追っている。
「それ……調理実習の?」
「そうだよ。誰にもやる奴がいねぇから、こいつにやったんだ」
あたしの答えにメガネはたっぷり時間を含ませて、
「ふーん」
とつまらなさそうに唇を結んだ。
な……!
何だよ!!その不服そうな顔はぁ!!!
メガネは不機嫌そうに顔を背けると、何も言わずにあたしたちの横を通り抜けた。
すたすたと無言で廊下の向こう側に消えると、
「何だよあいつは」とあたしは思わず悪態をついた。
キョウスケは何がおもしろいのかクスクス忍び笑いを漏らすと、
「メガネくんはお嬢のケーキが欲しかったんじゃないですかね?」
と聞き捨てならねぇことを言った。