。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「朔羅さん……」
メガネは振り返って、大きな目を更に大きく見開いている。
「朔羅ちゃん」
キモ金髪野郎もあたしを見て、メガネの肩に回していた腕をぱっと離した。
酷くバツが悪そうだ。
「あの……これは……」しどろもどろに答える。
あたしは階段を駆け上った。
キモ金髪野郎が一瞬ひるんだ様に、一歩後ずさる。
「龍崎くん、先生呼んでたよ?」
あたしはメガネの腕の裾を引っ張った。
「え?先生……?」
メガネは目をぱちくりさせている。
つべこべ言わずついて来い!この鈍感っ!!
そんな視線をメガネに送ると、こいつは納得したように頷いた。
「早く。すみません、先輩。また今度」
あたしは営業用のスマイルを浮かべてキモ金髪野郎を見上げた。
「あ、うん」
キモ金髪野郎は一瞬引きとめようとしたのか、手を浮かせたがそれが妙に宙ぶらりんになっていた。
「すみません。また」
メガネも便乗して謝ってる。
何謝ってるんだよ。このお人よしが。
お前しめられるとこだったんだぞ。
そう思いながらあたしはメガネの袖を引っ張って、廊下の奥へ進んだ。