。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「へへっ。仲直りのチュー」
メガネは顔を離すと、にこっと笑った。
あたしはチューされたところを軽くさすったが、別に嫌がったり怒ったりの反応はしなかった。
「あれ?怒らないの?」
「おめぇには色々諦めたよ」
けっとあたしが言い捨てると、メガネはガバッとあたしに抱きついてきた。
「じゃ、仲直りのハグっ」
あたしはメガネの腕の中でピキッと固まった。
「な、にやってんだよ!!ぶっ殺されてぇか!!」
思わずそう怒鳴ったけど……
ん?ん!!
こいつ……意外に引き締まった体してんな。
背中とか、腹とか。
無駄な脂肪がついてなくて、きれいな筋肉のつき方してる。
「さ……朔羅さん?」
メガネの声が微妙な感じに歪んで頭上から振ってきた。
「何だよ?」
「その触り方……ちょっとエロい」
「わ゛」
あたしは慌ててメガネを引き剥がした。
「てか、アメリカ帰りか何か知らねぇけどよ、お前他の女にもこんなことしてるのか?」
ふと疑問に思ったことが口に出た。
メガネは一瞬キョトンとして目をぱちぱちさせたものの、すぐに笑顔になった。
「朔羅さんだけだよ?」
あたしだけ……
「って、それってあたしを女扱いしてないってことかよ」
ムカつく奴だぜ。
そんなあたしの心情も知らずにメガネはくすっと意味深な笑みを漏らした。
「ほんっと……鈍いよね。朔羅さんって」
「に、鈍いだぁ?」
あたしは眉を吊り上げたけど、メガネは堪えてない様子でにこにこしながら手を振ってあたしの元から去っていった。